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2009.09.03

立山~薬師岳 2009.9.3 ②

ほとんど眠れないまま朝を迎えて朝食。出発間際に予報通り雨が降り出した。
出発時点で雨具を着て…非常に憂鬱だが降り方が弱いのと風がないため、5時、薬師に向けて歩きだした。
鳶岳から越中乗越まで下る途中に陽が差したりガスったり。これから登る越中沢岳が目の前に大きく立ちはだかる。ここからは噂通りのアップダウン。巻き道は一切ない。
越中沢岳の登りでスゴ乗越小屋が見える。しかし、近くに見えても辿り着くのは楽ではないらしい。
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鳶山を下っていると前方にはガスが薄れて越中沢岳の全容が…感動した。

越中沢岳からの下りは浮石も多く安心できないから注意して歩いた。岩山のピークを越えてスゴの頭に着いた時点でまたガスが出てきた。
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越中乗越より朝日とガスに神秘的な光景。
薬師峠までコースタイム12時間と言う長い行程なのでRunaのスタミナも常に計算しなければいけない。
スゴの頭からどんどん下る。今回の山旅の一番低い峠”スゴ乗越”に着いた。ここから薬師山頂まで900mの登りだ。まずは絶好の中継地点であるスゴ乗越小屋まで。
小屋は静かな樹林の中に建っていた。この小屋のテラスで食事休憩。薬師の登りに備える。ここから間山までは急な登りが続く。
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写真のスゴの頭は実に存在感がある。越中乗越~スゴ乗越までは嫌になるほどのアップダウンだ。
間山山頂で4人グループとすれ違った。ここから薬師の全貌があらわになる。いや全貌でははい。見えているのは低いピークだけ。深田百名山の「行けども行けども…」を体感できるのだ。天候はガスったり、少し晴れたりを繰り返す。時々弱い雨も降るけど気になるほどではない。いくつかのピークを越えてやっと北薬師に着いた。稜線ピークの一角である。ここからは本薬師の登りだけだから安心した。しかし、事態は思わぬ方向へ動いた。

北薬師を出発してから暫くしてから遠くでゴロゴロ雷の音が鳴っているのを確認。薬師は北アでも特に大きな山だから雷雲が集まりやすい。五色ヶ原からの長丁場で疲れもピークだったが、嫌な予感がしたので少し早く歩くようにRunaに指示した。そして急に風が冷たくなった。雨も土砂降りに…。

嫌な予感は的中してあと薬師山頂まで15分と言うところで雷はいよいよ頭上近くまで近づいてきた。岩穴があれば隠れたいところだが、それらしき場所もない。
我々は山頂を素通りしたが、ついに強烈な雷音は真上で鳴り響くようになった!とっさに地面に這いつくばってやり過ごしたが、ここはもっとも危険な場所だ。この後2人で”どこにこんなパワーが残っていたんだって言うくらいのダッシュで(笑)”東南稜分枝の石垣まで走る!(避難小屋らしいが屋根は朽ちて無かった)。

本当は薬師岳山荘まで駆け降りたかったが、そんな余裕すらないし、それ自体が最も危険な行為だ。気温が低く、雨が冷たいため2人ともブルブル震える。噂の低体温症の初期症状である。石垣は大人2人が座れば一杯である。
このままでは無事に雷をやり過しても低体温症で2人とも危険な状態になることは明らかだったので、ザックからテントを出してツェルと代わりに被った。雨が余りにも冷たく強くて震えが酷く、危険極まりない。そこで狭い場所なりに一人づつフリースを着た。この時点で雨具はゴアの役目を果たしていなかった。それでもその状態でテントを被っていたら幾分温かくなり、水分を摂ったこともあり気持ちは多少落ち着けた。

死に直面した時間は非常に長く感じた。肝心の雷は止まず、頭上で鳴り響く。落ちたら間違いなくアウトだ。震えながら祈り続けて15時半、ちょうど1時間に渡る地獄の時間が終わった。空が嘘のように明るくなり、雨もほぼ止んだ。途端に全身から疲れがドーっと出てフラフラのまま薬師岳山荘まで降りる。

そこからもどんどん標高を落として薬師平を過ぎ、ついに薬師峠まで降りた。峠は先ほどの雷が嘘のようにテントで賑わっていた。早朝五色ヶ原を出てからじつに12時間にも及ぶ長丁場だった。9月初旬と言えば夏山の延長と思われがちだが、我々は夏山とは思えないほど十分な装備を持っていた。無事だったのはその装備と”必ず生き延びる”と言う強い信念だったように思う。
もし軽装だったなら…あの2900mの石垣の中で、無事だったかどうか…多分ダメだったかもしれない。峠は陽が沈むまで弱い雨が降っていた。

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